時計の防水不良について【その2】:防水機能は経年劣化や日々の扱いで失われることも

機械式腕時計は4cmほどの小さなケースに数百の部品が詰め込まれているとても繊細な製品。

数ミリ単位で計算して作られているため、水気が侵入してサビなどが発生すると途端に不具合を起こしてしまいます。

そのため防水機能がついた腕時計が必要となるのです。

こんにちは、千年堂の田中です。

前回の記事でお客様からのお便りとともに防水機能について簡単にお話しました。

今回はその続きでより詳しく防水機能とその注意点についてお話します。

防水機能付き腕時計の種類

●防水時計

時計内部に水気が侵入しないように、リューズ・裏蓋のねじ込み構造・パッキンなどで気密性を高めた時計のこと。

(たとえば国産時計の多くは裏蓋に「WATER RESIST」の表記がありますが、これはJIS(日本工業規格)とISO(国際標準化機構)により決められた規格で防水時計の証です。)

日常生活防水(3気圧防水)

普段生活する上での最低限の防水機能。たとえば洗顔や手を洗った時の水、汗、雨などに耐えられる程度です。
潜水や水仕事、水上スポーツなどには使えません。

●潜水時計(ダイバーズウォッチ)

潜水用に防水処理がほどこされた腕時計のことです。

200m防水・300m防水・1000m防水などがあります。
時計の種類によっては6000m防水というのものまであります。

1953年に初めて回転式ベゼルやねじ込み式リューズを搭載した時計であるロレックスサブマリーナが誕生して以降、ダイバーズウォッチの人気に火が付いて普及し出しました。

経年劣化による防水機能の低下について

●防水機能はあくまで販売時点でのもの

メーカーの防水機能の水圧表記ですが、これはあくまで時計が製造され、その時の時点で防水検査を行い、そのメーカーの規格以上になったという結果を表しています。

つまりメーカー側では、新品かつ防水機能が規格以上のものが販売されるということです。

販売時点で防水検査に合格したということであり、5年10年と時計を使用していくうちに部品の経年劣化により、防水機能が低下していくということを忘れてはいけません。

●内部部品の損傷で非防水時計に!?

時計を着用しているうちに、身の覚えのないキズや打痕を発見することがあると思います。

これは自分では気づかない間に、何かにぶつけてしまったり、ぶつかってしまっている可能性が非常に高いと言えます。

こういったことが繰り返されたり、時には不注意にも時計を落下させてしまうこともあることでしょう。

時計の進み具合に問題がなかったとしても、ケースやリューズなどの外装部は損傷してしまっている可能性があります。

その結果、防水機能が失われ非防水時計になってしまうということはよくあります。

時計はモノである以上、ある程度はしかたがないことだと言えます。

修理がタダなのに、防水不良で15万の修理費が!

私の知り合いにこんな人がいました。

時計を購入して3年目で調子がおかしかったのでメーカー修理に出してみたら、保証期間内とのことで内部の修理は無償だった。ところがケースの歪みによる防水不良があり、ケース交換に別途15万円を提示されてしまった!

その方いわく、強くぶつけたり落下させたりといったことは記憶にはないそうです。

さすがにこれは初期不良品なのではないかと思いましたが、やはり気づかないうちにぶつけたりしてケースが歪んでしまったと思われます。

こういうことはよく起こり得ます。

まとめ

防水機能はいつなくなるかわかりません。

防水機能がないまま時計を使用していると気づかないうちに時計内部に湿気が入り、そしてサビや腐食が進行していきます。

こうならないためにも普段から注意して時計を取り扱う必要があります。

この点についてはまた次回書きたいと思います。

●前回の記事はこちら

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