ゼンマイを巻いて動く機械式時計にとって『リューズ(竜頭)』は動力を伝える最初の部位です。
しかし直接触る頻度が多い部品であるだけにその消耗度合いは計り知れません。
もし時計を長く使い続けたいのであれば正しいリューズの扱い方を知る必要があります。
こんにちは。
時計修理の千年堂です。
リューズがねじ込めない、リューズが取れてしまった、このようなトラブルに遭った方も多いのではないでしょうか。
今日はそんな腕時計に欠かせないリューズについてお話していこうと思います。
リューズの種類
リューズは以下の2種類に分かれます。
- 引き出して操作する通常のリューズ
- ねじ込み式のリューズ
ロレックスやダイバーズ用のオメガシーマスターなどは、時計内部の気密性を保持して防水効果と防塵効果を高めるためにねじ込み式リューズを採用しています。
ねじ込み式リューズはロレックスやダイバーズ用の時計には欠かせないパーツではあるのですが取り扱いには注意が必要です。
「ねじ込む」という行為を行うため部品には常に負荷がかかっています。
ねじ込み式リューズのデメリット
ねじ込み式リューズは摩耗しやすいのがデメリットです。
ねじ込みの際や、ねじ込み解除の度にリューズのネジ山と、チューブ(本体側のネジ山)が徐々に摩耗していきます。
摩耗が進行するとやがてリューズのねじ込みが出来なくなり、リューズが常に飛び出た状態になります
さすがに飛び出た状態で使用していると、当然のことながら防水性が低下して、湿気や水が時計内部に入り込みやすくなります。
そして最終的には時計にサビや腐食が生じ、時計が不動に至るおそれがあります。
ねじ込みが浅い状態でも防水が低下している状態となります。
これを事前に防ぐにはやはり定期的メンテナンスを行うことです。
また、ねじ込み式リューズは消耗品です。
リューズ交換の目安として、ねじ込みの回転が1回転を下回ったらリューズの交換をお勧めします。
ねじ込み式リューズのねじ込み方と注意点
そのねじ込み式のリューズの操作には注意が必要です。
リューズをねじ込むときは、リューズを押しながら1/4回転程、ねじ込み方向とは逆に回した後にねじ込みましょう。
なぜこうするかというと、リューズとチューブのネジ溝を合わせるためです。
これをやらずにねじ込むとネジ溝が噛み合わないまま押し込まれてしまい、リューズのネジ山の摩耗を早めてしまいます。
またねじ込み中に少しでも引っ掛かりを感じたら一度ねじ込みを緩めてください。
無理にねじ込むのは禁物です。
力任せに回すとネジ山の摩耗を早めてしまいます。
ねじ込み式リューズのメンテナンス
次にメンテナンスについてです。
ねじ込み式リューズは意外に汚れが溜まりやすいものです。
チューブ側に汚れが蓄積したままにするとリューズがしっかりと締め込めず、防水性が低下し、時計内部に湿気が入ることにも繋がります。
それを防ぐためにも汚れが溜まっていることに気が付いたらご自身でメンテナンスを行いましょう。
メンテナンス方法は簡単です。
爪楊枝や綿棒で、溜まっている汚れをキズを付けない程度に取り除くだけ。
100円ショップでも売られている、先の尖ったメイク綿棒を使うと汚れも取りやすくお勧めです。
繰り返しになりますが、汚れを放置したままだと防水性が低下して故障の原因となります。
メンテナンスは難しい作業ではないのでぜひ実践してみてください。
またご自身でも汚れを落としきれない場合はサビや腐食の可能性があります。無理に除去せず、時計修理のプロにご相談ください。