時計は水に弱いもの。
これは精密機械である以上は当たり前のことですが、防水機能がついた時計だとつい油断してしまいます。
時計を長く使い続けるためには防水機能を過信せず異変があったときにいち早く気付けることが大事です。
こんにちは、千年堂の田中です。
前回の記事では防水機能は経年劣化や日々の扱い方次第で失われるということをお話しました。
今回は引き続き防水について色々と解説していきたいと思います!
千年堂ではどのような防水検査をしているか?
まず始めに時計修理の千年堂ではどんな防水検査をしているか紹介します。
千年堂ではお見積り時に防水(生活防水)が確保されているかチェックしています。
ロレックスやオメガなどの時計の防水検査を行う際は、一般的に下の画像のような防水検査機を使います。
防水不良に気づいていない人も多い!?
千年堂へ依頼してくださるお客様の中には、修理に出して初めて防水不良に気づく方が多いです。
たとえば以下のようなケース。
■ 何年も、場合によっては10年以上もメンテナンスをしていない
■ 時計が動かなくなってから修理に出す
■ 時計内部が一瞬曇ったが、すぐに消えたのでそのままにしておいた
■ 針や文字盤にサビや腐食が見えるがそのままにしておいた
■ 時計が止まったが、しばらくは使わないからという理由で時計を数年間放置していた
もしかしたら同じような状況の方もいるかもしれません。
こういった状況の方はとくに、防水不良に気づかないまま修理依頼をされることが多い傾向にあります。
防水不良に気づくには定期的なオーバーホールが一番
防水不良は時計にとって命取りです。
いち早く気づくためには、やはり定期的にメンテナンスとしてオーバーホールに出してマメに防水検査を行うことが一番です。
基本的に時計はモノである以上、時が経つにつれて経年劣化していくのは仕方のないことです。
ですから、防水機能が失われていることにいかに早く気づくかが重要となります。
防水不良の時計の取り扱いにご注意を!
また、防水不良と判明した時計は今後取り扱いに注意が必要です。
パッキンやリューズ・プッシュボタンなどの損傷が原因で、部品交換で防水機能が回復することがありますが、基本的にはいつまた防水不良になるかわからないと思っていいでしょう。
メーカーにてケース交換をすれば防水機能が大きく回復する可能性が高まるのは間違いありません。
ですが前回の記事でも書きましたが、メーカー修理(ケース交換)は非常に高額です。
また、ケースを交換するということはムーブメントを交換するのと同様に別の時計になっているとも言えなくはありません。
長年使用した時計に愛着のある方や、時計を受け継いだ人はやはりできる限り元の時計の状態で愛用されたいと思うのではないでしょうか。
保管状態も気をつけて!
防水不良になってしまった時計は、できる限り湿気や水場に気をつけ、保管状態も湿気に気をつけるということが必要となってきます。
そして水が入ってしまったとわかった時点ですぐに乾燥処置を施し、時計修理店でオーバーホールを行ってください。
これらは防水不良の有無に関わらず大事なことです。
まとめ
・多くの方は修理に出して初めて防水不良に気づく
・防水不良に気づくには定期的なオーバーホールが一番
・防水不良の時計は保管状態にもより一層気を遣う必要あり
オメガやロレックスといった大切な腕時計をいかに長く使い続けるか。
身近な脅威である水からあなたの時計を守るために。大切であればあるほど防水についてはしっかりと理解しておかなければいけません。
次回は、防水不良で浸水故障が多い時期についてお伝えします。
●前回までの記事はこちら
- 時計の防水不良について【その1】:古い時計は防水機能だけでなくパーツ交換で高額になる?!
- 時計の防水不良について【その2】:防水機能は経年劣化や日々の扱いで失われることも
- 時計の防水不良について【その3】:防水不良にいち早く気づくためには?
- 時計の防水不良について【その4】:防水不良が起こりやすい時期はいつか?